苦手なこと、どこまで頑張らせればいい?
― 子どもの個性を信じて、「今のまま」で大丈夫 ―
子どもが苦手なことに向き合うとき、
「どこまで頑張らせたらいいのだろう?」
と悩む保護者の方はとても多いです。
模試の結果や学校の先生のコメントを見ると、
“苦手科目を伸ばしましょう” と言われることがあります。
私たち大人も、苦手克服のストーリーにどこか惹かれ、
「弱点をなくしてほしい」と願ってしまうことがあります。
ですが、よく考えてみると——
私たちが大人になって選ぶ仕事や趣味は、得意なこと・好きなことですよね。
人生の長い時間を費やすのは、
苦手克服ではなく“好きや得意を伸ばすこと”の方が、ずっと健やかで自然です。

■ 苦手を頑張れるのは、「本人が目標を持てたとき」
受験前の追い込みや、スポーツで強くなりたいという目標があるとき。
そんなときだけは、子どもも苦手な部分に取り組めます。
なぜなら、
「この目標のためなら頑張ろう」と、自分で納得できているから。
反対に、普段の生活で苦手を延々と頑張り続けるのは難しいものです。
どれだけ時間をかけても伸びにくく、ストレスばかりが増えてしまいます。

■ 苦手にこだわりすぎると、自信を失ってしまうことも
精神科医として実際に出会った例ですが、
「理科が苦手だから理学部に行きたい」
「体力がないから消防団に入って鍛えたい」
そんなふうに“苦手克服そのもの”が目的になってしまう方がいます。
けれど本来、
理学部は理科が好きな人の場所で、
消防団は体力がある人が活躍できる場所。
苦手を中心に進路を考えると、
その人本来の持ち味や魅力が生かせなくなってしまうのです。

■ 早期教育でも“向いていない”分野は伸びにくい
今は早期教育ブームですが、
どれだけ早くから始めても、
その子の得意・不得意が大きく変わるわけではありません。
好きな分野に早く出会えた子はぐんと伸びますが、
向いていない分野を早くから頑張らされると、
自分は伸びない
何をやってもダメだ
自信がなくなる
そんな気持ちが根づいてしまうこともあります。
そしてそれが、
不登校・引きこもり・落ち込みやすさにつながるケースも珍しくありません。

■ “頑張れない”のではなく、“向いていないだけ”
ときどき保護者の方から、
「うちの子は頑張れない子なのでは…」
と心配される相談があります。
でも本当にそうでしょうか?
子どもは、
好きなこと・得意なことに対しては、いくらでも努力できます。
大人が驚くほど集中して、夢中になって、自分から学び続けます。
それは“頑張れる子”そのもの。
ただ、親が頑張らせたいと思っている分野が、
その子に合っていないだけのことがとても多いのです。

■ 少し試してみて、合わなければ無理に続けなくていい
初めから苦手に触れない方が良い、という話ではありません。
少し試してみるのはとても大切です。
でも、
子どもがどうも乗り気でない…と感じたら、追い込まなくて大丈夫。
その子が本当に自分からやりたがるものは、必ずどこかにあります。
そこを見つけてあげることの方が、苦手克服よりもはるかに大切です。
■ 最後に ― 保護者の方へ伝えたいこと
子どもの未来は、
苦手克服ではなく“好きと得意”から大きく開いていきます。
今、苦手を無理に頑張れなくても大丈夫。
頑張らせようと焦る必要もありません。
その子の自然な姿を、今のまま受け止めてあげてください。
好きなことに出会えたとき、
子どもは驚くほど伸びていきます。
あなたのお子さんは、
すでに“伸びる力”をしっかりと持っています。
どうか安心してくださいね。
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